アーッ2019年が楽しい予感しかない!!!
というわけで2017年の『おんな城主直虎』以来また大河ドラマ沼という非常にヤバい沼にズブズブになりそうな年明けです、あけましておめでとうございます皆さん如何お過ごしですか。
2017年末の『監獄のお姫さま』以来の地上連ドラ(合間の『勉強させていただきます』はWOWOW入ってるのにまだ観てないし、本多劇場でのロミジュリはチケット取り逃がしたのだった…)にして大河ドラマなんて!めっちゃ楽しみにしてたに決まってんじゃん!!!
というわけで感想がTwitterに収まらなそうだったから軽率にこっちに書いてみました。
○『あまちゃん』の残り香を探して
スタッフ陣が集結してるのは周知のことかと思いますが、私が最もそれを感じたのは"テロップの入り方"でした。
初回にして膨大な数の登場人物が出てくる度に名前が出でくる。なんか独特なフォントで。
特に嘉納治五郎さんがオリンピック招致に動き出し決意を固めたところで肩書きがスススッと増えるところとか、ジミーなところなんだけどみぞみぞしました←
あと特に音楽の大友良英さん!
『あまちゃん』とか『トットてれび』とか『ウルトラミラクルラブストーリー』とか、
独特の余韻を残していく作品の劇伴は必ず大友さんが作曲されている…
ちょっと話逸れますが、個人的に超絶おすすめしたいのが、NHKの土曜ドラマ枠で放送されていた『ロング・グッドバイ』なんですけど、これ全然ご覧になった方聞かないんだけど…
丁度1964年の東京オリンピックに繋がっていく戦後の日本に移し替えているので、『いだてん』と比較しながら観たらめちゃくちゃ面白いと思う。
美術や衣装、せりふ回し、映像の質感…色調の抑えられた世界が独特で堪らない。
アルトマンの映画より断然こっちが私は好きです。
音楽はめちゃくちゃイカしてて、ジャズとか歌謡曲の要素を感じます。
OPがもう死ぬほど格好良くて、サントラ買いました。
劇中のキャバレーで歌われる歌曲も好きだった。未だに結構聴いている。
ちなみに脚本は『カーネーション』の渡辺あやさん。そりゃ名作でしょ…
↑ぜひこのページの渡辺さんの言葉を全国民に読んでいただきたい…
もう言葉が出ないくらいに全身を感情が駆け巡るような、なんて名文なのだろうと。
こんな言葉を一生かかっても私は紡げないだろうと思います。
○タイトルバック
大友さん続きになりますが、今回のメインテーマが大友さんっぽさと大河ドラマに相応しいスケール感がうまーく合わさってる感じで、気持ちの昂りと共に物語に入る事が出来ました。
細馬さんの新連載、「いだてん」第一話について、テーマの音楽について、鮮やかと言えるくらい素晴らしい分析をしています。まいった。見事!浮かれている2020年とはぜんぜん違う物語がこの先見えてくればいいなあ。あ、でも一箇所、コードについては構成音はほぼ一緒だけど微妙に違う〜。惜しい。 https://t.co/yMzRIANTDO
— 大友良英 otomo yoshihide (@otomojamjam) 2019年1月8日
もうこんな緻密なものを出されてしまっては、私が書くことなんてないのだけど。
ど素人が聴いてて思ったのは、最初のトランペットのファンファーレから度肝を抜かれたというか、
最近まで直虎沼にいたのでトランペットが鳴る=テッテレ―!*1=大河ドラマがはじまる=紆余曲折長くて重い歴史ドラマ
みたいなイメージが出来上がってしまっていたけど、
今回はすごく軽やかで、それこそレースが始まる時の音だよねこれ。
そのあとに続くギターや拍子木、人の掛け声までしてくる。まるで人の営みのある場所、大都会東京のど真ん中の喧騒と一生に一度の祭典への熱狂へと呑まれていくような。
これから何が起きるのだ…我はもう人が死ぬのは嫌じゃ…じゃなくて、
何が起きるかわからない…だからこそちゃんと目撃して!はじまるよ!みたいな、
前向きで明るいイメージに一瞬で繋がっていくのがすごく好きです。*2
映像面で言うと、これってリオの閉会式の時に、途中で流された映像に似てません?
東京の街並みや建造物とアスリートたちの技が重なる様がそのまんまというか。
アスリートたちの姿だけが集結したビジュアル(4:14あたり)は、
1964年のオリンピックの時のポスタービジュアルを元にしていると聞いたことがあるんですが、
当時の映像とか市川崑監督の記録映画とか私観てないんですが、今回の大河の映像含め全体的にそのあたりが元ネタなんだろうなぁとは思う。
#いだてん のタイトルバックでは市川崑監督による公式記録映画『東京オリンピック』のために撮影されたフィルムのうち、映画本編では使用されなかった部分を今回初めて4K化して使用しています。中盤「1964 TOKYO」とテロップされている部分と、終盤の東京大会の開会式の部分がそれにあたります。
— 大河ドラマ「いだてん」 (@nhk_td_idaten) 2019年1月10日
あとは、東京の街並みのイラストと写真や、競技の様子と日常の動作が重ねられたりとか、
1912年も(おそらく1940年も)1964年も2020年も、選手も観客も日本人も外国人も、
そういった境目や差異ではなく「重なる=同じもしくは似ている、集う」というところに目を向けようって、
複数のポジティブな意味合いを感ずる事が出来る映像で、とてもワクワクしました。
新旧其々の、その”東京”の街を、金栗四三が駆け抜けていくという終わり方もいい。
あと近現代の大河ってすごいですね、映像が残ってるの…!!!
タイトルバックもですが、劇中も、本編後のミニコーナーも、
当時の街中の様子とか、動いてるご本人とか平気でバンバン映ってて斬新でした。
○オリンピックの光と影
個人的に「平和=Paix」のくだりすごく面白かった。
ジゴローさんがペー!ペー!とかはしゃいでるのは多分史実じゃない笑。
先述のテロップ、きちんとここで入らないと私達も何を言ってるのかわからないので大事。
でも、大隈重信に「子どもたちのはじけるような笑顔は本来平和のためにあるはず」と漏らしたジゴローさんの想いは、まさにオリンピズムそのものに繋がるし、
その一方で杉本哲太さん演じる永井道明さんが、「体も心も未熟な若者に一国の命運を託するという意識」に対して批判もしていて、ただオリンピックサイコー!みたいな流れじゃなく、
なんで参加するの?誰のため?何のため?
スポーツなんでやるの?楽しいの?楽しくないの?
って根本的な問いをきちんと投げかけていて、流石大河ドラマだなぁと。
そもそも、ジゴローさん以外の高等師範学校の教師陣との対立を見るとわかりやすいんですが、
「教育としての"体育"」と「競技としての "スポーツ"」に
こんなにも厚い壁があった時代だったんだってことを思い知ったんですよね。
現代の我々には観戦するとか自分も楽しむとか娯楽としてのスポーツの感覚が染みついているけれど、
それは僅か一世紀ばかりの、きわめて近代的な感覚・思想にすぎないということ。
諸外国との戦争に勝ちまくり、富国強兵が第一みたいな時代じゃまぁ手っ取り早く戦力ほしいし鍛え上げたいよなぁと…
当たり前なはずだけれど、個人的に今回結構ショッキングなことでした。
そんな中、ジゴローさんに振り回されながらも、こっそりと優勝カップを特注してしまっていた可児さんに静かに心が震えた…
ああやって、歴史の第一線のちょっと後ろで奮闘したり想いを貫いていたりしていた人が、いつの時代もどの国にもいたんだったこと、一視聴者として忘れたくないですね。
○とにもかくにもT!N!G!
まさか大河のナレーションで「うざくてチャラい輩」なんて耳にするとは思いませんでしたよ。
しかもちゃんとWikipediaまで存在してビビったんだけど…史実…すげえ…
ほんとマジで途中までクドカンの脚色すごいとか思ってたことを心からおわびしたいです、はい。
こっそり「T!N!G!(ドヤ顔)」ってしてた杉咲花ちゃんの女中さんのショットを入れて来る時点で最高過ぎてだいすきなんですけど…もう絶対一年間観るって…
個人的に母校の大先輩に当たる吉岡信敬さんのビジュアルが凄すぎてびっくりした(っていうか真之介くんのキャスティングやばい)し、とにかくバンカラ!!!って感じとかすごくいい…そもそも大隈重信出て来るしこんなにフィーチャーされるとは…
こっそり予選会に出て「早せ田」ってゼッケンに書いてた清さん、ぶっちぎりで今回のMVPですね!!!笑いすぎて腹が痛い!
○その他余談
・森山未來さんの長髪で着物がはだけててだらしない姿がNHKで拝めるとかちょっと夢?初夢?と思ったし、清さんが峯田さんとか途中まで全然気付けなかったくらいナチュラルだったし新境地すぎるし、ミューズ橋本愛ちゃんの小梅ちゃんかわいすぎて私がお金を出して遊んでもらいたいし、明治の浅草十二階下めちゃんこ夢がありすぎでは???タイムスリップしてえ…
・しかし、最もかわいかったのはまさかの嘉納治五郎というか役所さんだった…ペー!ペー!
・昨年確か浅草の私有地掘ってたら浅草十二階の基礎部分の本物の煉瓦が出てきて所在地特定できた上に、居合わせた人にふつうに煉瓦配ってたっていうロマンあふれるニュースを聞いたりとか、私の好きな『夢見るように眠りたい』って映画の重要なシーンで出てきたりとか、何かと浅草十二階こと凌雲閣が気になりすぎるんですけど、あのCG再現に至った資料とか普通に知りたいんですけど。国会図書館とか行けばあるんでしょうか。
・あと近現代大河だとロケ地も本物あったりするから、聖地巡礼が捗りますね…素敵な近代建築沢山出てきたね…楽しみ…
次回以降書くかはわかりません。
でも一年間楽しく見届けたいと思います!