je joue

好きだってことを忘れるくらいの好き

とりあえずの回顧 2017

年末仕事が忙しすぎて、リミスリの感想も、直虎最終回浜松PVのレポも出来てないのですが、とりあえず今年の「好き」をぶちまけておきます。あとは知らん!くらえ!

ざっとジャンル別にしました。♡は特に好きってやつ。まぁあとは察してくれ…

 

 

 

☆展覧会系

 

昭和元禄落語心中

♡ファッションとアート 麗しき東西交流展 @横浜美術館

ミュシャ展 @国立新美術館

大テレビドラマ博覧会 @演劇博物館

(関連イベントとして以下も参加

坂元裕二×是枝裕和トークショー

尾野真千子トークショー )

ああ新宿 アングラ×ストリート×ジャズ展 

夢二が描く大正ファッション ~大和撫子からモダンガールまで~ @竹久夢二美術館

バベルの塔展 @東京都美術館

迎賓館 藤田嗣治天井画特別公開

 

✳︎全然美術館行ってなかったなーとりあえず怖い絵展と国宝展行きそびれたのは馬鹿でした。

今年は美術館というより、旅行先で建築を沢山見ていたので、そちらで補完していた感じ。

 

✳︎横浜美術館の服飾や雑貨に関する展示がめちゃくちゃ良かった。女性の服飾史がすごく好きで、ちょくちょくそういった展示は見てますが、資料数、特に本当のドレスなどの現物が豊富、かつ横浜という立地から見た近現代の日本の開国の歴史なんかも絡めててめちゃくちゃ面白かった。図録重かったけど即買ったのにまだまだ読めてないので消化したい。

 

✳︎激戦チケットを入手して参加した坂元さん是枝さんのトークショーは言わずもがなすごく良かったけどもっと話聞きたかった….レポしてなくてごめんなさい。往復書簡もまだ積読になってます…

 

 

 

☆書籍

コンビニ人間

女の勲章

狂うひと 死の棘の妻・島尾ミホ

堕落論

 

✳︎正直言うと中2つ全部読み終わってないので本当は挙げてはならないのですが…

 

✳︎コンビニ人間、今更今年読みましたがめっちゃ好きだった。主人公の不器用さ、なんとなくわかると思った。どっちかというとそっちの人間だなあと、他人事に思えなかった。

とりあえず私主人公じゃなく周りの人の歪さに胸糞悪かったよ!みんなバーベキューで焼かれて死ね!ってバーベキューのくだりで本当に思った。社会では仕事か家庭か、そういう尺度しかないのかよって、ほんと嫌だった。もう一回読み直したい。

 

✳︎女の勲章面白いけど長すぎてしんどい笑。でも4月にやってたフジテレビでの二夜連続のドラマ、すごく面白かったし、それこそ衣装の豊富さ美しさと、

玉木宏が最高に色気爆発してたのでお願いだから観てください。

 

すれ違いざまに背中に触れる手先のクローズアップ!

本気で口説きにかかるときに首元から抱き締める手つき!

壊れ物を扱うようにして完全に奪っていく手元!

手が!けしからんから!観て!(語彙力)

 

とりあえず大筋としては、恋慕と忠誠を滲ませながら本心を隠しコントロールする/される危うい関係、かつ男の方が部下…ってここまででお気付きの貴方。

 

直虎好きな人絶対観た方がええで…!

 

女の勲章 - フジテレビ

リンク貼っとくけど円盤化してなさそう…サントラもすごく良かったから出して欲しいです。

 

 

 

☆ライブ

♡ラフォルジュルネ (5/5〜6)

チャットモンチー 機械仕掛けの秘密基地ツアー 千秋楽 

FUJI ROCK FESTIVAL  (7/29〜30)
ペンギンカフェオーケストラ 来日公演
ザンジバルナイト

 

✳︎今年のハイライトの1つはフジロック初参戦でした。1番の目当てはBjork。前回の来日ワンマン以来でしたが、今回の弦楽編成の方が好きでしたし、最終日大トリで花火と共に歌われるhyperballadは格別でした。

ちなみにライブ中は周りに居た外人のお兄さんお姉さん方とノリノリで踊ってました笑。

あと思いかげず素晴らしかったのはCocco。今までなんとなく避けてた自分のアホ!感動して泣きそうだった。

そしてMONDO GROSSOで拝んだ満島ひかり嬢で心臓はちきれたよ…まさかとはちょっと思ったけど実現するとは思わなかった。大雨の中夜まで耐えて観にいって良かったです。

とりあえずこのお三方、みんな最後にお辞儀するときバレエ風の、お召し物の裾を持ってちょこんとおじぎするの、最高に私の好みすぎて泣いた。一生ついてく。

しかも林檎さんもプライベートで来てたらしいし、好きな女神たちと同じ空気吸ってたって苗場やべえよ…

 

✳︎クラシックの祭典、ラフォルジュルネにも仕事終わりの夜遅くに駆け込んで2公演見ることが出来ました。舞踊と音楽という素敵なテーマで、公式に出ている舞踊史と音楽史をざっとおさらいできる本もわざわざ購入したのに、これもまた積読

1番良かったのは南米舞曲特集の公演で、元々好きだったタンゴの音楽を生で聴けたこと。

バンドネオンではなくアコーディオンでしたが、あんなに感情をむきだしに奏でられるものなのかと。そしてそれに絡み、支える弦楽五重奏の重厚さ。

もう言葉で形容できる感情等要らず、この世界で1番「甘美」という言葉そのものである音楽にただただ身を任せたいと思うくらいで。音の重なり、移ろい、1つ1つがギュッと胸を掴んで離さない響きがして、どこか哀しくて、とろけるような極上の音楽でした。

 

ピアソラのこの曲、ほぼこの通りのアレンジでした。また来日してくれないだろうか。

Richard Galliano Sextet - Oblivion (Astor Piazzolla) Sébastien Surel - solo violin - YouTube

 

✳︎耳馴染んだ曲でさえ機械仕掛けのアレンジでハラハラワクワクさせてくれたのに、2018年で私の大好きなチャットモンチーは解散してしまいます。

私の人生の節目も絶え間ない日常も、いつも彩ってくれた音楽でした。徳島までこなそんフェス行ったの楽しかったな。

今は寂しくてよくわからない気持ちだけれど、最後まで見届けようと思います。

 

 

 

☆音楽

♡Doughnuts Hole 『おとなの掟』

Warpaint 『Heads up』

欅坂46『真っ白なものは汚したくなる』

吉澤嘉代子 『屋根裏獣』

MONDO GROSSO 『何度でも新しく生まれる』

Cocco 『20周年記念special live』

LOVE PSYCHEDELICO 『LOVE YOUR LOVE』

小沢健二『流動体について』

ディズニーランドの『Once Upon a Time』のサントラ

椎名林檎『逆輸入〜航空局〜』『目抜き通り』

 

✳︎よく聴いてたものをざっと。

とりあえず、大前提として夏からあの噂のサブスクリプションってやつを使い始めました。Apple Music、めっちゃ使いやすい!

ウォークマンからスマホで完全に音楽聴くようになったら、アルバム通さずとも好きな曲だけ聴いたり、プレイリスト作ったり、新しい音楽とどんどん出会うようになって、音楽の聴き方が変わってしまった…ってどこかで指摘されてたけど、まさに私もそうなってる。

 

✳︎フジロックでいろいろ好きなアーティストが増えてCoccoオザケンめっちゃ聴いてた。オザケン世代じゃないんだけど今めっちゃカラオケしたいです。

しかし肝心のBjorkの新譜は全然聴いてませんw前々作Biophilaで止まってる。というか最近のはちょっとよくわかんなくて聴いてません…

 

✳︎洋楽で唯一そこそこ聴いてたWarpaintは、新宿にある謎のアイスクリーム屋さん兼レコード屋でかかってて、この曲どのアルバムですか?って恐る恐るサチモスみたいな店員さんに聴いて教えてもらいました笑。気だるい歌い方、独特のリズム感、不思議なガールズバンドです。

 

✳︎吉澤嘉代子さんが好きになりました。

 

✳︎ディズニーで史上最高に好きなショー、ワンスの見納めのために今年年パスまで買ってしまい、未だにサントラで追いワンスしてます。

「お話はわたしたちをどんな所へでも連れて行ってくれる」ってナレーションだけで、どれだけ救われ、涙したか。

物語を、フィクションを、嘘と解りつつも信じること=夢を見ることに、小さい時かずっと変わらず私は生きがいを感じてるし、常にそのことに何かしらの意味も、希望も見出したいと思っている。そんな私に、夢の国が見せてくれた本気の夢だった。一生醒めないで、、、

【最終日最終回:感動の拍手に包まれた】ワンス・アポン・ア・タイム 2017.11.6 2nd - YouTube

 

✳︎というか、あえて書きませんでしたけどサントラめっちゃ聴いてたんです今年。カルテットや直虎はもちろん、後述の映画で出てくるサントラ(『Hidden Figures』『Arrival』『La La Land』『Planetarium』『Éternité』、あとリミスリ)とか、めちゃくちゃ聴いてた。演劇や映像作品における音楽の役割をとても考えることが多かったくらい良作だらけだった。

 

✳︎今年の1曲、おとなの掟。

からの目抜き通り。からの逆輸入…

これはねえ、ちょっと書ききれないからやめる。思い入れがあまりにありすぎて困る。要は椎名林檎最強ってことよ…

軽井沢から銀座を歩いてる4人の幻視見えてるから私…

もう全部大好きだし毎日ずっと狂ったように聴いててこれでもかと好きが詰め込まれて爆発してる。しんどい。

とにかく来年は20周年メモリアルイヤー楽しみだな!ツアーはフォーラムとNHK確保してます〜

 

 

 

☆映画

ネオンデーモン

葛城事件

Fargo

愚行録

ララランド

たかが世界の終わり

奇跡の海

ダンサー・イン・ザ・ダーク

アンチクライスト

メットガラ ドレスをまとった美術館

無限の住人

美女と野獣

帝一の國

ハドソン川の奇跡

カケラ

シン・ゴジラ

♡ザ・ダンサー (La danseus)

♡昼顔

メアリと魔女の花

♡メッセージ (Arrival)

ドリーム (Hidden Figures)

海辺の生と死

サーミの血 (SAMI BLOOD)

プラネタリウム (Planetarium)

動くな、死ね、甦れ!

月と雷

エタニティ 永遠の花たち (Éternité)

THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY

彼女がその名を知らない鳥たち

 

✳︎今年は何度か映画館に毎週水曜とか、あるいは週4でとか、なんかすごく通い詰めてる時があって、集中的に観てる時とそうでない時が激しかったです。

 

✳︎世界で一番好きな映画を観るために、初めて新文芸坐でオールナイト上映参加しました。ラース・フォン・トリアー特集って頭のおかしい人しか来てないだろって感じだったけど、めっちゃ良かった…アンチクライストはマジ無理だったけど。

奇跡の海の宗教描写、敬虔さの捉え方の奥深さが面白かったのと、とにかく世界一好きなダンサーインザダークという映画を36mmフィルムで、素晴らしい音響で、映画館の真っ暗闇に放り込まれ観ることができて最高の一言しかなかったです。この映画に関してはガチで小論文書いてるし、大学にあった関連文献は全部読んでると思うから、この辺でもうやめとく止まんないから…

 

✳︎今更シンゴジ観た。こないだの地上波の放送も観た。遅い。冗談ポイです〜

 

✳︎たぶん今年の1位『昼顔』です。

 

✳︎邦題が酷いので原題を載せたりしてみましたが、ララランドとArrivalとリミスリが個人的に個人的に「2017年的」な映画だなあと。

「在ったかもしれない」平行線の人生を知りながら、思いながら、それでもなお『この人生を選ぶ』と、人生やり直しスイッチ押さなかった人、押せなかった人の物語だ。

ここに「流動体について」を流すと完璧。

この辺りのこともほんとは1年間ずっと考えていたので、グダグダ書き連ねたいんだけどなあ…

 

 

 

☆演劇・舞踊

♡キャバレー

♡陥没

王家の紋章

♡Fase

Vortex Temporum

ジゼル

百鬼オペラ 羅生門

かがみのかなたはたなかのなかに

 

✳︎舞台さえおそろしく観に行けなかった…何してたんだ…あっテレビ観てたのか(察し)

野田地図もナイロン始動も見逃したので、来年は絶対観ます。百年の秘密たのしみ。

 

✳︎キャバレーの時代や世界観はドンピシャだった。

「ここには美しい人生しかない」という台詞で始まり、幕引かれるのが本当にたまらなかった…キャバレーとかバーレスクものは元々大好きだけど、音楽やダンスや衣装の華やかさや猥雑さはもちろん、その空間だけは美しい嘘と虚構でまみれてるところが好きなんだよ…

チケットほんと取るの大変だったなあ。みんなのまさみ氏可愛かったし、秋山菜津子さんは演技も歌もなんでも出来て大好きです。

 

✳︎Rosas来日きちんと観に行けて良かったです。コンテンポラリーが好きになったきっかけのカンパニー、まさにその演目を、ご本人が踊るというもう最後かもしれない機会を目の当たりに。

いつかあんな風に、スカートの裾で風を切って、世界を縁取って、私は踊れるようになりたい。

 

 

 

☆テレビドラマ

♡カルテット

東京タラレバ娘

A LIFE〜愛しき人〜

あなたのことはそれほど

小さな巨人

黒革の手帖

♡セシルのもくろみ

下北沢ダイハード

ハロー張りネズミ

民衆の敵

監獄のお姫さま

コウノドリ

♡おんな城主直虎 

 

✳︎ここには書きませんが、カルテットと直虎で人生最高に狂いました最ッッッ高にぶっ飛んだ1年になりましたありがとうございました…

好きが溢れてしかたなくて、撒き散らして狂い踊ってたらマジで1年終わった。人生チョロかった!たのしー!!!

 

✳︎高橋一生についても書きません。満島ひかりちゃんについてもまあいいか。2人が好き。圧倒的推し。

特に前者はもう今書けないから!無理!しんどい!

とりあえず沼ってヤバいね🤗沼の底には俺が行くだよ🤗

 

✳︎監獄のお姫さまとカルテットの呼応が凄くて震えた。本当にセットで観るべき…

 

✳︎予想外に良かったのが下北沢ダイハード第4話、セシルのもくろみ中盤以降。

 

 

 

 

 

☆旅行

2月 名古屋

5月 軽井沢

6月 京都 滋賀 名古屋 群馬

7月 越後湯沢 ベトナム

9月 新潟 浜松

11月 群馬

12月 浜松

 

✳︎とりあえず自分でも意味がわからない。「新幹線で行けるところは近い」という認識に変わっちゃった。恐ろしきフットワーク。

 

✳︎どこに行っても大体建築巡りはしていた。特に京都や新潟なんか観光地すっ飛ばしてマイナー物件ばかり見てたし。明治村の年パス買ってましたし。

 

✳︎初海外ひとり旅はベトナム中部、ダナンとホイアンに行きました。理由はいろいろありますが、1つはとある雑誌の特集を見て「推しと同じ景色が見たい…」と思ったからです。休みの2週間くらい前にいきなり思い立って飛行機とホテルだけ押さえて行っちゃったw

治安が良くて、物価激安、景色も良くご飯は最高!夜遅くまでふっつーに世界遺産の市街地歩いて遊んでたし、海やプールで泳いできました。英語は何とかなりました。

とにかく自分のフットワークの軽さ怖い。

 

✳︎みんなもう私を聖地巡礼職人と呼べばいいと思う。

とりあえず好きなもの出来たら「現場に行けばええやん🤔」って思うようになった。

推しと同じ景色が見られて空気を吸えて、支えてくれてる地元の人にもお金落とせるし、ほかの観光もできるし、自分の溢れすぎて遣る瀬無くなってる「好き」をぶちまけるには手っ取り早い。良いことしかない!

 

元々自分で交通手段や名所を調べて計画立てるのは好きだし楽しいし得意なので、全然オフ会とかなんならツアー企画する。ので、皆さんご贔屓にお願いしますね…!

来年は明治村でしおりんの面影を求めに行くし、軽井沢に籠って一気見したいし、彦根に行けてないし、まだまだやりたいこと沢山!

 

好きなものと、同じ好きなものを好きな人と、わちゃわちゃ賑やかで狂ったように過ぎていった1年が終わることが今とても惜しいなんて、1年前は考えもしなかったです。

来年も今年以上に楽しく賑やかな1年になりますように。よろしくお願い申し上げます╰(*´︶`*)╯

とりあえず仕事まだ納まってないので納めてきます…良いお年を!

 

 

『カルテット』が好きすぎて聖地巡礼に行った話 ~ここに行かなきゃ終われない編~

 

 

sherry5honey7jouer.hatenablog.com

 

聖地巡礼2日目!

前日行けなかった大事な場所、まだまだあるのでお付き合い下さいませ…!

 

この日は生憎の雨なので自転車使えず、

免許も持ってないのでタクシー移動。

…言わずもがなお金がとても飛んだ!ので、免許取ろうとすごく思った。

軽井沢やっぱり車ないとだめですね…

カルテットの4人もあの車で頻繁に移動してたしねえ。

しかし、そのおかげで後々すごいミラクルに遭遇することになります…!

 

とりあえずホテルから近かったこちらからスタートです!

軽井沢の名物スーパー、ツルヤさん。

 

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なんであそこにカーリングの石があったのか未だに不思議…

 

 お店の中に入ると…

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1話の!タイトルのところ!

ドラクエの、まさに物語が始まる「序曲」すごく好きです。

 

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個人的にすごく好きなんだけど↓

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この2組(特に後者)が見つめあってるの〜!

かわいすぎる〜!!!

まだ出会って間もない頃でしょ?みんなまだおとなは秘密抱えまくってる時でしょ?

それでこのシーンって、やっぱり音楽って人と人とを繋げるんだなあって、地味に嬉しかったんですよねえ。

ちなみにツルヤさん、ジャムとかジュースとかいろいろ美味しいものいっぱいでおすすめです。私は持ち帰りきれず配送しました…笑

 

さて、次はいよいよずっと行きたかったタリアセンに!

タリアセンって湖があるだけじゃなく、周りにいろいろ見るところがあるんですね。

軽井沢に縁のある文学者の記念館とか、小さな美術館とか、普通にくまなく見て楽しんでました♪

 

ドラマでも使われてたのが、有島武郎ゆかりの建物(浄月庵。有島武郎の衝撃的なヤバいエピソードが詰まってるので文学好きにはたまらないかも…笑)を改装したカフェ「一房の葡萄」↓

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すずめちゃんと鏡子さんが密会してたシーンで一瞬だけ出てました。

「右手でひきつけて、左手で騙す」のところ。これがね、そのあといろんな伏線になるとはな…(´;ω;`)

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もちろん同じ席に座ってお茶しましたo(^▽^)o

 

そして、ついに、私の1番の目的地にたどり着きました…!

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アー写撮影地!!!おさるさん!!!

ここまで来たらあの構図で撮るしかないのよ…!

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これがね、ずっと撮りたかったんです。すずめちゃんになりたくて、ずっと憧れてたの。

そのためにピンクのワンピも探したし、地図も作って、1人で軽井沢来たんだよ…!

こうして夢が叶いました。お金と手間をかければ叶うんやー!ワクワクをありがとうカルテット!!!

 

夢が叶ったので、最後にここに寄って帰ろうと思います。

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ノクターン!聖地of聖地!

 

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お店は狭いんですけど、クラスタにはたまらないあれやこれやがありました。

 

ちなみにお店の人に、「一生さんがロケの度にこのチーズ買ってました」って勧められたよ。

燻製チーズ、買ったよね。

そして実際めちゃくちゃ美味しかったよ…本当に美味しかったよ…!

 

それでね、実はここですごいミラクル起きてたんです。

 

タリアセンからお店まで連れてってくれた運転手さん、本当にたまたま拾ったタクシーの方だったんですけど、なんと

4話で茶馬子と光大くんを乗せたタクシーの運転手さん

だったんです!

 

本当に偶然だったので私もびっくりしたんですが、この運転手さんサービスも凄くて!

さらっと「撮影の時の配置で車停めますねー」いうことで↓

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アアア蘇る高橋一生の名演技…!

 

たまたま光大くんポジションに座ってたわたしは、まさかの光大くんから諭高パパを見上げる構図に↓

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諭高パパ〜置いてかないでよおおおお(´;ω;`)

 

さらに運転手さん、私が調べても全然場所わからなかった別荘までついでに連れてってくれました。凄すぎる、、

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マジで4人が出てきそうだったよ…同じ空気…吸ってる…(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)

 

というわけでそれこそドラマみたいなすごい展開でわたしの聖地巡礼は終わりました。

 

まさか現地に赴くほどドラマ好きになるなんて思わなかったけど、

一瞬一瞬がいとおしかったあのシーンやこのシーンの景色が目の前にあって、

自分の大好きな人と同じ空気を吸って同じ景色を目に映すことは、

何にも代え難いくらい楽しくて尊い思い出になりました。

聖地巡礼本当にオススメします!

 

今度はクラスタの皆さんと行きたいなあ。

軽井沢で10話一気見したいし、から揚げパーティーしたいし、巡礼コースはわたしが立案できる!

いつかガチで実現させます!カルテット好きさん、わたしについてきてください!笑

 

…今回軽井沢行ったことで、聖地巡礼や遠征が当たり前になってしまい、

その後ベトナムフジロック井伊谷に飛んだ話はまたいつか…笑

『カルテット』が好きすぎて聖地巡礼に行った話 ~すずめちゃんの夢編~

 

2ヶ月経ってしまった…更新速度遅すぎてすみません。

(大河で推しが死んだりとか大変なことになっていてそれどころでなかった)

 今日の「カルテット勝手に再放送」が8話ってことで、

どうしてもそれに合わせて更新したかったのです!

 

突然ですが、これ読まれてる方に聞きたいんですけど、皆さん何話がお好きですか?

何言ってんだ全話通して神ドラマだろ???

って思ってる人絶対いますよね、いや私もそうなんですけどね、強いて言うなら8話なんですよね。

理由はいろいろあって、4人の永遠に完結しない片想いの構図がわかりやすいとか、巻夫婦の一件が終わって4人の生活がいちばん安定して垣間見えるとことか、何より

すずめちゃんの片想いの夢がね、切なくて死んだ。

 

サティとリストの素晴らしい選曲と、片想いのおもてとうらの両方の輝きとしんどさと、全部あいまってとにかくひたすら「まぶしい」んだよ…あー語彙力がない…とにかく好きですあの回。

 

そして8話見れば、実は軽井沢の観光地巡れちゃうんですよね、割と。

わたし全然軽井沢詳しくないですが、この45分でロケ地巡りルート設定めちゃくちゃ参考になりました。

というわけで、1日目は8話のすずめちゃんの夢ルートを中心にしてます。

 

はい、というわけで、やっと…ついに…軽井沢に降り立ちました~!

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夢の世界がここにある…あったんだ…ってとっても感激しました。

でも東京からほぼ1時間。意外と近いゆめのくに!

駅前は鏡子さんの未遂ハグとか、すずめと幹生の遭遇とか、

おせっかいたこ焼き屋さんとか(公式が家すずフラグ立てたァァァと発狂したアレ)

結構出てきているんですよね。

 

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↑まさかのクドカン登場で「うっそ~?!?!?!」ってなったの私だけじゃないはず

 

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↑「の~ぼりざか~ははんはん~」って歌いたくなる

 

1日目は、ここで自転車を借りて旧軽井沢方面に向かってゆく、

王道の観光ルートで参ります!

 

 

チャリ借りてから漕ぎ始めてすぐ、右手側に大きな水辺と緑が見えて、ついそちらにふらふら行ってみたら…

 

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うわーん!大賀ホールだ!!!!!

しょっぱなから聖地of聖地感がハンパない。

ここのアングルね、最終回で4人が眺めてた所です!

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見つけた瞬間「うわあああああああ」って叫んじゃったくらい感動。

 

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↑ここで男性陣が女性陣に手を差し伸べるんやで…発狂したよ…

男性陣よ、好きな子のおててにぎれてよかったねえええええ!!!!!

 

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f:id:sherry5honey:20170708222934j:image ↑9話のまきすずデートのぶらんこ。もちろん立ち漕ぎした。

 

ここで腹ごしらえ。

聖地巡礼としてはちょっとマイナーなのかもしれないけど、個人的にどうしても行きたかったのが、駅から旧軽までの道の半ばにある「ブラッスリーシュエット」さん。

 

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↑童話の中のお店かな?ってくらいめちゃくちゃメルヘンチック…すてき…お花咲き乱れてる

 

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↑メニューに「すずめちゃん大絶賛」って書いてある

 

どのシーンかおわかりですか。ほんとに一瞬しか出てこなかったんですけどここです↓

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すずめちゃんが、夢の中でおデートして、ごはんたべるとこ!!!

 

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放映時には気付かなかったけどお店の中、わたしのだいすきなミュシャの絵がいっぱい。

ゆめのなかみたいだなって思いました。

 

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すずめちゃんと司くんが食べてたメニューもあったんですが、

ひとりじゃ食べきれないなーと思ってランチセットにしました。おにく!!!

おいしかったし、すごーくお腹いっぱいになりました笑。

 

お店のおかみさんもめっちゃいい人だったんですけど、

ひかりちゃんがすごく綺麗にご飯をたいらげてて、いい子だったって絶賛してました。

 

さて、ちょっと聖地巡礼からは脱線します。

旧軽銀座の方まで一気にチャリを進め、通りすぎてさらに北の方に向かいました。

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↑この時気付いてなかったんですけど、三笠通りもロケ地でしたね笑。

1話の冒頭で司くんと真紀さんが車で通ってた。

 

「The軽井沢」って感じの新緑の三笠通り、めちゃくちゃ気持ち良かったです!

そしてしばらく緑の中を通り抜けると、昔の異国に迷い込んだかのような

綺麗な建物が見えてきます。

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旧三笠ホテルです。なんと重要文化財

 

…というのもわたくし、建物ヲタクで特に西洋建築が好きなんです。

旅先では、必ず時間を見つけては洋館巡りとかするくらい好きで。

なので今回もここはどうしても行きたくて、脱線しました笑。

でもとっても美しいでしょ!中も1時間くらいかけてじっくり見ましたが、

おしゃれで綺麗で、シンプルなのにじつは凝っていて。

普通に泊まりたいくらい、素敵な場所でした。

まぁ建物の話はまたの機会に。

 

というわけで、聖地巡礼に戻ります。

 

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よいパパ諭高くんがフレール・ジャック歌ってたとこね!

初回時はこの鼻歌さえ伏線だなんて思いもしなかったよ…カルテット…恐ろしい子

 

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軽井沢ユニオンチャーチ。

鏡子さんとすずめちゃん、6話では真紀さんも行ってましたね。

初回のラスト、名台詞「みぞみぞしてきました」からのおとなの掟って流れね!

あれ最高にゾックゾクしながら観たわ!!!

 

ユニオンチャーチのすぐ裏手に神社があるんですけど、

ここもどのシーンか覚えてます?

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8話でサティの「Je te veux」に合わせたすずめちゃんミュージカルのところで、

4人でお参りに来ていた神社なんです。

 

あのね、自慢していいですか?ってかさせて。

あのときすずめちゃん、大吉引いてたじゃないですか。

凶が出ちゃった司くんにこっそりとりかえてあげてたアレ。

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そんでもって、おみくじあったから引いてみたんですよ。

凶出たらいやだなーくらいの気持ちで。

 

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同じの出たあああああ!!!!!

神様あああああありがとう!!!!!!!!!

ほんとに絶叫したからねこの瞬間。

ミラクルすぎてわたし運持ってるなぁと思いました。

今年の運使っちゃったかなあ。でもいいや。大好きな人とおそろいだもん。

今でもお財布に入れて、いつも大事に持ち歩いてます。

 

さあついに旧軽銀座に突入だー!

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f:id:sherry5honey:20170708225433j:imageすずめちゃんララランドの現場!まじで中心地だった。すげえ。

今度来た時は誰かカメラマン連れて、ガチでララランドしたい。

誰かよろしく頼みます…! 

 

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夢の中のデートの待ち合わせは、観光会館の目の前でしたね。

 

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観光会館の中にも大きいポスターあったよ。

 

ちょっとガンガンチャリ飛ばしすぎて、ガンガン名場面の名所を巡ってたので、すぐ近くの浅野屋さんに入って休憩。

ここも鏡子さんとすずめちゃんの密会で使われてました。

もちろん同じ席に座るよね笑。

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パン屋さんだけど、ケーキを食べましたwでもおいしかった!

 

そろそろチャリを返さなきゃなので、駅の方に戻ります。

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↑出頭しかけた幹生さんを真紀さんが無理やり車に乗せたとこ。

 

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↑すずめちゃんがバイトしてた不動産屋!駅近だった。

 

ここで一旦ホテルに行って休憩して、夜暗くなるのを待ちました。

なぜなら、必ず夜にしか出てこないあの場所に行きたかったからです。

 

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もう説明は不要ですね。あのコンビニですよ。

右手と左手!ラブラブストロベリーとロックンロールナッツ!

おにぎりと「抱かれたいの」のコンビニ!(←説明が雑)

 

ってかマジでおにぎり売ってたわ。

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お店のオーナーさんに頼んで、サイン見せてもらいました!

左からひかりちゃん、クドカン、龍平くん。

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ほんとは松さんのもあったんだけど、熱心なファンの方に頼まれてあげちゃったんだって。

わたしもひかりちゃんの欲しかったよ!でも我慢したよ!

 

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ちゃんとポスターも貼ってあった。

なんかやっぱり…現場ってすごい。めっちゃ感動した。

コンビニの看板のあの赤と黄色の光見えた時、ちょっと泣きそうだったもん。

 

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 そして、コンビニで買ったおにぎりと氷結(←)をつまみに、

何故か宿のテレビに入ってた映画『カケラ』(ひかりちゃん主演の映画)を観て、

1日目は終了いたしました。

この日だけで本当に行きたい場所ほとんど巡れてめっちゃ濃かった…!

 

2日目はいよいよあのアー写撮影地やノクターンへ!

つづく~!

白と黒のあわいに生きたひと ~おんな城主直虎 第33話 「嫌われ政次の一生」~

私個人が好きな視点なのですが、「まなざし」というものほど人の本性や本心等、およそこの世界で大人が生きてゆく上で時には扱いづらく、厄介なものは無いからこそ、

いつもいつもそんな「まなざし」が一瞬爆ぜて立ち現われるような、そんな瞬間を物語の中で見つけるのが好きです。

 

この物語では、政次というキャラクターは誰よりも「まなざし」が印象的だったと感じています。

いつも誰よりも賢く、誰よりも優しい。だから誰よりも周りの事が見えているし、見え過ぎている。

だからこそ、ひた隠しにしている彼の本心や本音が唯一溢れだすような、垣間見えるよな目が、とてもとても好きでした。

 

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彼の一生できっと沢山「まなざし」を投げかけていたのは、おとわであり、次郎であり、直虎だったんだろうなと。

おそらくその大半は、彼女が見ていない、見つめ返されることのない瞬間に投げかけるものだったからこそ、その一つ一つを見るたびに惹かれました。

 

そして、高橋一生という役者さんは、本当に目の使い方が上手な方だと思う。

視線の方向、瞬きの回数・頻度、目の開き具合等、目一つでこんなにも饒舌に物語るのかといつもいたく感心してしまいます。

そんな場面挙げればキリがないのですが、最近だと32回で小野の家臣に「我らも欺いていた」と告げられるところの瞬きの表現の巧さや、

今回のなつとの会話のシーンが印象的だったなと思います。最後だとわかっている、口には出さないその運命が、零れ落ちそうになる瞬き。それを黙って受け止めるまなざし。

 

そのなつとのシーンで、白い碁石を見つめる政次の目を”なつ”がふさぐということ。

碁石を隠すとか、とりあげるとか、話をそらすとか。そういったことではなく、彼の目をふさぐというのは、それほど政次の目一つが直虎への想いを汲み取らせてしまうからこそなのではないかと思います。 

なつさんの立場は直虎とは違う意味でまたつらく、それでも静かに受け入れる・愛する姿勢がぶれなかった彼女は本当に賢く、意志の強い人だし、美しい人だと思います。政次にとっても、そんな存在が居て心底良かっただろうなと思います。

だからこそ彼女が最後にちょっと「わがまま」と言うほどではないですが、本心に沿った言動をしていたのがかわいらしくて、だからこそ切なくて、ずっとこの時のことが美しい思い出として残ってほしいと願わずにはいられませんでした。

 

 

それから、龍雲丸から白い碁石を受け取り、「次の手」を考えた直虎が「私が送ってやらねば」から「我が送ってやらねば」と言い直したところ。

どうするべきなのか判らず涙を流していた「おとわ」が、政次の真意を汲み取り、いやそれ以上の覚悟を決め、小さく瞬きをしたのち「直虎」に一瞬で切り替わった瞬間。

瞬きひとつの間さえ永遠に感じるような一瞬。

「私が」では彼女の左側からカメラが映していたのが、「我が」では右側 ー後に尼頭巾に政次の血を滲ませるその半身の側ー に変わっていたことと併せて、書き起こせばたった一文字の呼び名の違いで、その一瞬を切り取る鮮やかさにもため息が出ました。

 

 

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正直、政次の最期を直虎が見届けて、刹那きっと視線がぶつかって。

そこで全部お互いだけが悟って彼は逝くんだろうな …ってところまでは割と前から予想してました。

だからこそ、刑場に来て2人の視線が交差した時からとてもしんどかったし、いよいよという所で閉じられた直虎の眼が再び開いた時、見えているのは磔になっている政次であり、かつその瞬間覚悟を決めたんだとわかるところが、私としては一番しんどかったです。

だってこの一連のシーン、台詞が一つもないのに2人の「目」だけで成立してるんですよ。

 

  

さて、「目」というものは白目の真中に黒目を宿したものです。当たり前ですが。当たり前すぎて気にした事もなかったのですが。

思えば、白と黒の二色は何度も目にしてきた色でした。直虎と政次がひそやかに碁を打つ時に。

 

この物語でとても重要なモチーフである「碁石」も白と黒であり、「まなざし」もまた白目と黒目から投げかけられる視線の交わりでもあります。

そこで私が強く惹かれたのは、このシーンでした。

とてもとても些細で、私的な視点でしかないのですが。

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政次が井戸端に戻って来てみつめていた、最後に直虎と囲碁を打った時にそっと袖に忍ばせたもの。

ある意味で言えば、後朝の衣ならぬ白き碁石

 

その碁石が、ここにきて「白く」見えなかったのです。

政次の人指し指の方、碁石の右側の方に筋状の模様が見えるのです。

夕日のせいなのか、材質の問題なのか*1、意図した演出なのか、偶然なのか。

正直細かすぎる視点だと自分でも思いますし、よくわからないのですが、一瞬でこの翳りのような模様から目が離せなくて、ずっとこれは何?って思いながら観てました。

 

このつまらない引っ掛かりが、きちんと立ち現われたのは最期のシーンでした。

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直虎の真っ白な尼頭巾に一点のみ散らされた紅い染み。

もっと血で染まったとしてもおかしくは無いと思うのですが、なんで少しだけ?と思った時に、

先程の碁石の翳りと、一点の染みは、おそらく政次と直虎の呼応するモチーフなのではないか

と考えつきました。

 

「素地は真っ白なものに異なる色が差す」という点でこの2つは物理的な外観として似た色彩をもっているな、という印象から連想されたものなのですが。

「白」という色は次郎法師の色であって、「黒」づくめの服を纏った政次と対比されるように真っ白な尼頭巾を被っています。

直虎を名乗るようになってからは、彼女は鮮やかな「赤」の着物で装うようになります。

 

自分の一番大切な存在の象徴である「白」の碁石に、自らの色が混ざることは、政次の

想いの複雑さや彼女への執着の表れのように思います。

憧れ、尊敬、忠誠、嫉妬、恋慕、慈愛、信頼…この世に在るどんな言葉でも言い尽くせないような感情がきっと溢れ出て、混ざって、それでも唯一つ解ってたのは「自分は彼女の傍で守ることを選ぶ」自分の使命。

圧倒的な「白」に、取り込まれそうなほんの少しの碁石の翳りは、決していつも思い通りにはならない彼女から離れられない政次の姿のようにも見えました。

 

生きてゆくには嘘を吐いて、見方も敵も欺いて、白黒つけなければならなかった。それでも白黒つけられないグレーのあわいに、人のむきだしの姿と心が見え隠れしている。

そのあわいにずっと、政次は囚われて、そのあわいのために、政次は生きたと思うのです。

 

その政次を直虎自ら手に掛けることの意味も重要性も、もう重々誰もが分かっていると思うのですが、その1つとして殺生をすること(名もなき子を殺した政次の行為の反復でもある)で尼である次郎も罪を背負って地獄に行くことになり、「おとわ」と呼んでくれる存在も同時にいなくなります。

つまり、まさにこの瞬間、自分の手でかつての自分を決定的に殺してしまったのです。自分の半身のような政次の身体を通して。

直虎が「もはや降りることは許されぬ」その証として、真っ白な頭巾に決して消えない「赤」の染みが残る。

その染みは、直虎が直虎になるために最も必要であった政次の血であるということが、皮肉にもきっと直虎を完全たらしめることだと思うのです。

 

来週の予告でもその尼頭巾のままで居た直虎は、今後ずっとこのことを忘れず、背負ってゆく引き継いでゆく覚悟まで出来ていたのかなと思うと、彼女の強さを思うと共に、 心休める日は来るのかと心配にもなりました。

だからこそ、来週以降もきちんと見届ける必要があるのだけど。せめて地獄からの代わりに未来から見てるよって。

 

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政次の辞世の句、「白黒をつけむと」囲碁を打つ時は、

白黒つけずに直虎と顔を合わせ、話す事ができた場所でした。

こんな簡潔な、たった31文字で、そのひとときがどれほど彼にとって大切なもので、

毎回心待ちにしていたのかが滲み出ていることに、

私はひどく心を動かされました。

 

生命を使い果たす終の瞬間に、やっと心の奥のまるはだかな感情をあらわにしたことが政次らしい。

ひとり待つ穏やかな表情と共に、きっとこの人の事を一生忘れないだろうなと思いました。

 

 

どんな言葉をもってもこの物語を語ることはできないし、

ましてや最期の2人のやりとりはもっと沢山の意味も解釈もできるので、

今更私がどうこう言うことは必要ないと思うんですが。

裏返したはずの言葉と気持ちが、あんなに強く胸を打つなんて。

それは永遠に2人だけの秘め事として閉じられるなんて。

 

放送前は政次が居なくなることが辛いと思ってたけれど、それよりも、

あの2人の出した答え、もはや形容しきれない確固たる関係性があんな形で実を結んで、それにただただ圧倒されたこと。

これ以上ない人生の幕引きと物語の説得力に、きっともうこの先出会うことがないんじゃないだろうか。ということに、

打ちのめされそうになることが今すごくつらいです。

それくらい凄いものを見てしまったし、でも同じ時代に生きて出会えただけ良かったのかもしれない。

自分の幕引きの際に、こんな物語を目撃出来たことが本懐だと思いたい。

 

それにしても龍雲丸の言う「あの人がそれを選んだ」こと、数ある選択肢からそれを選んで生き抜くということ、この2017年に溢れすぎていやしないだろうか。

カルテットも、ララランドも、小沢健二も、メッセージも、直虎も。

「選ばなかった」「在ったかもしれない」人生を知りながら、今在る生をまっとうする彼ら彼女らは、

時代も国もバラバラだけれど、私にとっては皆等しく、唯尊く、唯生きていてほしいと思う。

そんな気持ちにさせてくれるものに沢山囲まれる私たちは心底平和だし幸せだと思う。

 

「あの世でもらう批評が本当なのさ デートの夢は永い眠りで観ようか」って、

この二人の事だったんだろうかって思ってしまうくらいに好きだし、

黄泉では陽の下で碁を打って、美しい思い出や笑い話もしてほしい。

どうか笑って居てくれますように。

 

 

 どうしてもこの日までに追い付きたくて、8月入ってから半月ほどでオンデマンドと録りためていた録画を一気に観続ける日々を重ねてまいりましたが、本当にそうしてよかったなと思います。この日を沢山の人と迎えられてよかった。

 

毎週毎話ごとにブログをお書きになっていた方もいらっしゃったし、

きちんと初回からリアルタイムで追っていた多くの方にはおよそ頭が上がらないですし、

このように山場の回だけ書き付ける形になってしまうことも申し訳ないのですが、

どうしても自分の身体を通して考えたこと、湧き出た想いを、きちんと残してせめてもの手向けにしたい。なんて、一視聴者かつ歴史に埋もれゆく1人の人間にしては過ぎた考えで書きました。

来週以降も楽しみに見届けようと思ってます。

ここまでお読み頂きありがとうございました!

*1:ちなみに検索すると蛤製?の碁石だとこんな色合いみたいなのですが、これ以上分かりませんでした。不確かな情報ですみません、お詳しい方ご教授願います。

『カルテット』が好きすぎて聖地巡礼に行った話 ~みぞみぞしながら準備編~

 

タイトルのまんまなんですけどね。

 

ついに円盤発売になりましたね~(パチパチパチパチ)

公式のみなさまに、心からおめでとうございます!

そして、宝物のような作品を、センキューカルテット。

 

6日に優秀な密林さんがおうちまでフラゲさせてくれて、

たまたま休みだったので昼から開封の儀を執り行い、特典映像だけとりあえず観て、

そのまま渋谷に繰り出して、パネル展見て氷結飲んできましたよ~

同じビルでやるのほんと頭いいと思うっていうか、これはまんまと引っ掛かるね東京のイセクラさんたち…

(私はイセクラってほどじゃないですもっと熱心な方沢山いらっしゃるから…)

我ながら初動が早い優秀な(暇人)ヲタ~と思いました。

 

今更だけど『カルテット』めちゃんこいいですよね。もうこれ読んでくださってる時点で理由なんかいらないでしょう。円盤を観始めて更に実感し、

軽井沢の方向に五体投地したいくらいの気持ちです。

順調に睡眠時間が削られていますが、とりあえず指折り数えて待ち望んだ発売日を祝して、

5月に軽井沢聖地巡礼してきた話します。

 

 

 

なんで5月だったかと言うと、正直放送時からもうずっと心は軽井沢に向いてたんですけど、物理的な準備と心の準備が出来なかったからです。単純にあとは仕事のタイミング。

放送終了から2カ月、とりあえず準備としてやったことは

  1. 公式オンデマンドに課金して全10話を観直す
  2. 観直した上で、更にロケ地の手がかりになりそうな場面をひたすらスクショする
  3. 軽井沢観光協会HPの公式ロケ地マップを元に、巡礼ルートを設定する
  4. すずめちゃんが着てそうな服を調達する

 

「うわっこの人ほんと暇人だ~」って思ったでしょ?割と自分でもそう思う。

ちなみに公式ロケ地マップめちゃくちゃ使えます。ご参考までに。

karuizawa-kankokyokai.jp

 

あとリアルタイム視聴時に、私は週を追うごとに物凄い勢いでエスカレートして、後半とかもう

週に5回とか平気でループして観てたんですよ。怖い。

それでスクショもめちゃくちゃ撮りまくってたんですよ、一瞬も逃したくなくて。

最初1話につき150枚とかだったんですけど、

8話くらいで500枚を超えて、

最終話で700枚になりました。

これがどのくらいヤバイかと言うと、

12月に替えたばかりのiPhoneの写真容量が放送終了時には一杯になりました。

冷静に文字で見ると狂気の沙汰だなって思いますが、これがめちゃくちゃ便利だったんですよ。

準備期間の間に全部各話ごとにアーカイブ化して、ロケ地巡る時に使えるようにしてました。

 

あ、「すずめちゃんが着てそうな服」というのは、個人的な趣味です。

まぁ彼女の事が大好きです。中の人も好きだけど、役としてもこんなに惹かれたこと、今までないです。

それで、この冬は長くてゆるっとしたものしか買わなくなったくらいなんですけど(要はロングスカート・ワンピしか着なくなった)

どーしてもアー写撮影時のアレを再現したくてですね

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実を言うとこのために軽井沢行きたかったので探して、見つけました。

あとでその写真は載せるつもりなので…

 

というわけでいよいよ軽井沢へ向かいます。

が、写真の容量とかこちらの更新頻度の問題で小出しにしますすみません。。。

とりあえず記事書けるまで円盤観てください!面白い!可愛い!尊い!の3拍子だから!(と言って逃げる…)

カルテットのいない火曜日に

※この記事は『カルテット』最終回放送一週間後の、3月28日時点で記事にしていたものです。オーディオコメンタリー的なノリで観ながら書きました。だからめちゃくちゃ新鮮、ですが諸々目をつぶってご笑覧いただければと思います。

 

「いないってことがずっと続くこと」


にはじめて直面している火曜日。
年明ける前はハグの日だったのに、年が明けた途端にこの冬の3ヶ月を奪っていって、実に軽やかに去っていってしまった…

青いふぐりのサルは見つからないまま、軽井沢の雪は解け、別荘にはリスがやって来る。
昔観たアイスランドの映画のタイトルのように、新しい季節が来るからぼんやりと考える。
『春にして君を想う』ように、『カルテット』最終話について書きたいことが多すぎるからここに綴ります。
本当は他にも書きたいことはあるけど、とりあえず純粋に劇中の事だけ書きます。

 

冒頭は真紀(じゃないんだけど)の独白から。
物が少なくて真っ白な部屋はまるで取調室、あるいは教会の懺悔室のように、真正面から彼女を捉えるカメラ。
何度も話題に出てきては一度も姿を見せなかった「ねこ」の置物が置いてあったのがせめてもの救いみたいに思えてくる。

「私が弾く音楽は、これから先全部灰色になると思うんです」

白黒つけないグレーこそがこのお話の世界だけど、こんな悲しい「グレー」があるだろうか。

そして、星の舟が行き着いた軽井沢でのささやかでいとおしい日々をこう表していました。

「それくらいね眩しい時間だった」

「こぼれる」ものの美しさや尊さは、9話のすずめちゃんの名台詞でも語られていたけど、
「眩しい」というのも実はキーワードなんじゃないかなと思う。

8話ですずめちゃんは「好きだってことを忘れるくらいの好き」な気持ちを、
お勤め先の社長さんに話すわけだけれども、その時に
「眩しいね」
と返されていて、その直後のシーンでもすずめちゃんが木々の間にこぼれる光を眩しそうに
見上げるショットが組み込まれていました。

まきさんとすずめちゃん、それぞれのこぼれおちる気持ちが、2週間の時を隔てて対話のように挿入され、
なんだか文字通り「きらめく」ような、本当に心に迫るものがあって、
ちょっと開始5分も経たずに泣かせにかかってきやがって…と思うわけです。

そして一話に巻き戻ったみたいだけれど、
「まきさんの不在」という決定的な違いが影を落とす日常が描かれていきます。
(「よろしく頼ムール貝」って言って、にわとりの衣装の首元はだけさせて
鎖骨ご開帳させる家森氏は本当に罪深いよ!
サービスショットありがとうございました…)

のくた庵というネーミングセンスに爆笑し、
タラレバでも食べてたピェンロー鍋など小ネタも健在で最高だけど、
春雨切る係の諭高がかわいそうだから誰か切ってあげて!(笑)

きっとね、諭高が春雨切るのは彼の優しさとか、元美容師バイトとかもあるんでしょうけど、
彼がいろんなものに対しての「断ち切れない想い」
最もわかりやすく体現した存在だからだと思うのです。

例えばその後のシーン。
コロッケデートシンドロームに陥った別府くんによって解散されそうになるカルテットドーナツホールだけれども、
すずめちゃんが「このヴァイオリン返してからにしましょう」と言って、
まるでドラクエみたいにまきさんを探しに行くわけですが、
そのすずめちゃんの話の間、ずっと諭高は鍋から春雨ひっぱりあげたままなんだよね。誰も切ってくれないし。

それもそのはず、だって3人ともまきさんが大好きで、このカルテットという居場所を大切に想っている。
それこそ本当に切実に「断ち切れない想い」の話をしているから、
春雨は誰によっても「切られてはいけない」のだと思う。

私は前々回の8話を「嘘から出たまこと」の回だと思っていて、
その時の台詞等を引用して更に具体的に言うと、
最初は嘘で繋がっていた4人だったけれども、嘘でも言い続けて信じ続ければ現実になる、
誰かにとっての本当の気持ちになっていったじゃないか。それこそがこの物語なわけで。
それはもはやひとりで見る「片想いの夢」じゃなくなる、みんなでわかちあう「両想いの現実」になる。
まきさんは嘘の存在なんかじゃなくちゃんと3人の心の中にすみついてるし、
4人で奏でる音楽は心からの「好き」を乗せて、きちんと互いを結びつけている。


話を戻すと、だからこそこの一連の春雨のシーンは、
諭高がそっと鍋に春雨を戻して終わらなければならなかったのだと思う。
誰かが切ってもダメ、食べちゃってもダメ、
断ち切れない想いはそのままに、まきさんと再び出会わなければいけないのだから。

まじめな話をしましたが、この食事のシーン、さりげなく諭高はすずめちゃんにデートしてくれたら「幸せしかないなぁ」とか爆弾発言ぶっ放すし、春雨すするすずめちゃんとお椀持つ諭高の絶妙なタイミングに個人的には歓喜\(^^)/って感じだったし、
居場所を簡単に見つけちゃう元ストーカー別府氏はただの特定班かよ!と突っ込みたいし、横坐り&すずめちゃんに邪険にされる家森くんかわいすぎだし、
もうみんなでコロッケデートすればいいんじゃないかな!悲しい顔はもう見たくないな!って思ったただのファンでした、はい、ごめんなさい。


まきさん探しのシーン。ある意味白眉のシーンだったかもしれません。
洗濯物を干すまきさん。靴下の穴という「欠陥」を見つめ、
そう言えばイヤホンをつけるというのも耳の「穴」をふさぐ行為だし、
ここでもドーナツの穴というモチーフは健在。
そうだよまきさん、あなたという不在を埋めないと、ドーナツは要らない穴だらけになって、円でなくなってしまうよ。
懐かしい音楽がまきさんに届く。イヤホンしちゃったしもうダメかと思ったら、
風に舞うタオル、絶妙のタイミングで止まる洗濯機、本当に偶然だけどありガトーショコラ!!!って言いたくなった。

気が付いたら駆けだしていて、「音楽は前に進むだけ」だから、
今まで一度も転ばなかったまきさんは転んでも走って行く。
まきさんを見つけて手が止まる3人だけれど、演奏を再開させて彼女を引き止める。
やっぱり音楽は前に進むだけだ。
後半でも出てくるけれど、やはり「届くべきものは届く人には届く」ということをここでも表しているよう。

(余談だけど、1stが居ないのでメロディーたぶんヴィオラが弾いてたっぽいけど、
そうすると演奏再開し始めたの諭高かな?ってふと思いました。
いつだって彼は閉じた心をノックして、はじまりを作りだす人だなぁって、
今までの物語とも併せて改めて感じました。)

そして、4人で再会するシーンで涙腺が崩壊しました。泣く…泣くでしょあれは…
言葉にせずとも、触れた手や髪(綺麗な黒髪に白髪が増えてたまきさん、「グレー」だ。)から
相手の空白の時間を思いやる想像力。
9話のラストでも、まきさんとすずめちゃんが互いの孤独だった少女時代に想いを馳せる実に美しいシーンがあったけれど、ここでもまた繰り返される。

電柱に照らされた4人は、まるでスポットライトに照らされているようでした。
4人だけのささやかな、しかし待ち望んだ瞬間。
きっと今後の人生の中でも忘れられないハイライトになったはず。
舞台の大きさは関係なくて、こういった瞬間も人を前に進ませる。

すずめちゃんと諭高にハグされるまきさんを見て、「私と変わって!!!ずるい!」と思った全国の視聴者の皆さーん、
私もそう思いました。なんて素敵な誘拐なんでしょう。
ここで一番抱きつきたいはずの別府くんが抱きつかないのが切なくてまた泣ける。
「おとな」だからなのかなぁとぼんやり思いながら、甘くてほろ苦いチョコレートみたいなシーンでした。

さらっと「司くん」「諭高さん」呼びという爆弾が落とされて動揺したことはあえてスルーします笑。

せっかく4人が揃っていざ演奏しようとなったところで、空白の一年が確かに変えてしまった現実に直面したところ。
諭高「真紀さんのせいじゃないですよ、夢が終わる、音楽を趣味にするタイミングが向こうから来た」
別府「夢見て損することはなかった」
すずめ「誰が聴いてても聴いてなくても私たちが楽しければ」


あんなに音楽に、夢にしがみついていたキリギリスたちの成れの果ては、
夢をなかったことにして、アリに変わることなのか。
1話みたいにコーン茶を淹れようとしてもそれはもうここには無いように、
かつての仲間はもう居ない、不可逆なように変わってしまったのか。
しかし、そこで強行手段で夢を叶えることを提案できるまきさんのしたたかさに圧巻されました。

晒し者でも好奇の目でもそんなの私なんてことありません

こんなこと普通言えないと思うんですよ。
でもまきさんは、名前を変えるように「まさか」な人生を何度も進路変更して生き延びてきた人。
誰よりも「普通」を望み、星の舟に乗り続けて行き着いた先で得た「普通」の生活と「夢」。
だからこそ叶えたい気持ちもひとしおだったんだろうし、過酷なこの1年の間でも
その夢をきちんと忘れずに持ち続けていたのかなと。

 


いよいよ夢に向かっていくクライマックスが走り出して、ここで例の手紙が出て来るわけですが、
どうやら坂元作品には手紙が良く出て来ると指摘されていた方をお見かけしました。
私も全部ではないですがいくつか観ているのでそういえばそうかもしれないと思ったんですが。

ちょっと違う話をすると、カルテットではこの手紙をはじめ、
別府君がまきさんの不在の間のことをレコーダーに録音して吹き込んだり、
先程書いたまきさんとすずめちゃんの過去を想いやるシーンであったり、
3話での「つばめちゃん(仮名)」の過去のブログであったり、
1話のモルダウに乗せた4人の思惑の回想シーンや6~7話の巻夫妻の回想であったり、
8話のすずめちゃんの「片想いの夢」であったり…
なんだか直接の対峙ではないもの、つまり誰かが残したものを後から相手が知るということ、
思い返すということ、想像するということ…そういった「曖昧な対峙」とでも言えるものの尊さが
ずっと描かれてきたように思いました。


緊張するシーンが続く中、衣装合わせのシーンが可愛すぎてほっこりして死にそうでした公式さん本当にありがとう…
別府くんは簡単にすずめちゃんに可愛いって言うな!
変なポーズを一緒にやっちゃう諭高はすずめちゃん好きすぎだろあとパンツ履いてもズボンのチャックは締めようね!
ボーダーかぶってても着替えない=4人は特別な関係ってことだし、
段差の所で別→まき、家→すずで手を差し伸べるのもうカップルだよねお幸せに!公式尊い


あれよあれよとコンサート当日の、あの大問題のシーンですが、
あれはもう「グレー」でいいんだよ、白黒つけたらこの物語は終わるんだからナンセンスだ、というのが
私の個人的意見です。まぁ気になるけど。
殺したかどうかはわからないとして、「こぼれた」のはそれだけじゃない気がするからです。

ただ、開演前に舞台袖で各自のいつものルーティンをやる4人の中で、
うっかりもう外したりはめたりする円状のものが無いことに気付いて微笑むまきさんの表情みたいに、
ドーナツに輪の中に彼女に真の「安息」が与えられていたら良いなと、それだけは思った。


私が気になったのは、まきさんとすずめちゃんが「鏡」越しに対話していたこと。
「鏡の中の女は本性を露わにする」
というモチーフは結構いろんな作品で使われている気がするんだけど、
(例えばこないだ観た『ネオン・デーモン』とか、『シカゴ』の「Roxie」のナンバーとか、
「シャロットの女」とか、広く言えばそうなのかなと。)
このシーンもその一例だと思います。

あと、例えば7話では、幹生と再会したまきさんが口紅を引き直すシーンが、
本当は幹生が好きでたまらなくて、カルテットだって簡単に捨てそうになるくらい
まきさんの狂気を静かに表しているようだったし。

9話では、不思議の国のありすちゃんは、その後「鏡の国」を旅するアリスみたいに、
株が下落して落ち込んだ時、楽屋の鏡を見た瞬間に誘惑の秘策を思いついて自爆してた。
そしてまきさんも刑事から本名を告げられた瞬間に横顔が玄関の鏡に映っていたし。

嘘をついた女の破滅の瞬間は鏡で暴かれるんだろうか、とも思ってました。
だからこその今回は鏡の前で話さなければならなかったのかなと。

鏡と女、嘘と本性、そして死と乙女。
わかりやすく相反するものが共存する不思議の国の入り口が鏡なのかもしれません。

口紅を引くという行為が反復された後、口紅の蓋をかちっと閉めるように、あるいはぱさりと閉じられる楽譜のように、
この2人だけの濃密な空間に、永遠の秘密は隠されて、閉じられるように感じました。
ドーナツが廻り回って円になるように、閉じなければいけなかった。
だって、「おとなは秘密を守る」のだから。


30分の大曲「死と乙女」と共に、走馬灯の様に駆け巡る彼ら彼女らの日々。
それは私たちのこの「3ヶ月」でもあって、こみ上げてくるものを感じずにはいられない。

空き缶投げられても関係ない、それに打ち勝つ想いと思い出があるから。
「不可逆」ということは、戻れないだけじゃなくて「戻らない」のだから、心から溢れたものは決して無くならないはずだ。

何度も出てきた「Music for a found harmonium」で立ち弾きしてたのがめちゃくちゃ格好良くて好きなんですが、
ロングショットなので5話でタイトル出てきたところみたいに、4人がすごく小さく見える構図で似てるなぁと。
でも道端から大舞台へ、強硬手段とは言え変わって良かったなと純粋に思う気持ちと、
5話のあのシーンで第1章から第2章に切り替わる感じだったから、
今回も新しい章…ドーナツのように永遠に終わらない日々が、
またはじまるのかなと、わくわくときめく気持ちが混ざりました。


すずめちゃんがあまりに気持ちよさそうに眠ってるから、ここまで来て夢オチか?!と一瞬思ったけど、
ちゃんと記念写真が飾ってあって心底ほっとしました。(あの写真、今待ち受けにしてるくらいに大好きです)

食卓に供されるからあげとレモン、パセリのくだりでまた声が小さくなってるまきさんに、あぁいつもの光景だなと思うくらいには、
この人たちの日常がわたしたちの日常に染みついていたんだなと改めて思います。

「ここにパセリがいることを忘れちゃわないで」

パセリでこんなに盛り上がれる家森さんが面白すぎるけれど、そもそもなんなんだろうパセリって。
私はこう考えます。
あるのと無いのとで違う「パセリ」は、きっと「音楽」とか「夢」なんじゃないだろうか。

衣食住とか、政治とか経済とか、お金とか、健康とか、「ないと生きていけないもの」って沢山ありますよね。
音楽や夢ではお腹は満たされないし、それだけじゃ生きていけないものだし、別になくても人生は進む。

「世の中に優れた音楽が生まれる過程で出来た余計なもの」
「煙突から出た煙」


あの手紙の中での言葉を借りるなら、この言葉は4人の存在や音楽の不完全さを指し示すだけでなくて、
パセリみたいなものは全部あてはめることができて、捨てていいものなんだろうと。

そんなもの必要ないと考える人、あるいは誰かが発したそれが届かない人にとっては、本当に無価値なものはそれでもなぜこの世に在るのか。

そこにかすかな自分の希望や憧れや幸せを託す人が居るから、
人生を彩るかもしれないと信じる人が居るから、
そこに人生を懸けるに値すると考える人が何時の時代も生きていたからだろうと私は思います。
そういう人がきっと、「センキューパセリ」ってそっと心で言えるのだと思うのです。


ふと思ったのですが、狭義の「パセリ」は音楽や文学や演劇や映画やなんでもいいけれど、おそらく芸術や娯楽に関わることで、
人の感性や価値観に訴えかけるものだからこそ価値の基準があやふやで、その苦しさはこの物語を通して観ていれば嫌でもわかるけれど。
だからこそ、その煙みたいに見えないものをつかみたくなる、その向こう側を見たいと思わせる、そんななにかがあるから諦めきれないんだよね。

この世の中がね、もう少しキリギリスに優しかったら、というのは難しくても、
パセリみたいなものを、楽しんだり慈しんだり、そんなことができる余白や多様性があれば
もっと世界は美しくなるだろうに、と私は勝手に願ってます。

夢とかパセリの話だけでこの文章と同じくらいの分量かけそうなのでまた後日書こうかなとか思ってるくらいには、ささやかだけどすごく好きなシーンです。

そろそろこの話もお開きです。

熱海への謎の遠征に繰り出していくところで、
ここで最初にお話した「眩しい」ショットがまた入るわけです。

考えすぎかもしれないけど、また木漏れ日から別荘を見上げる4人のショットに移っていくのが
実に美しくて、あぁ終わっちゃう、どうかこの時が止まってくれればいいのにと思わずにはいられなくて。
本当にこの場所は、4人にとって「好きだってってことを忘れるくらい」「こぼれる」好きが詰まった場所だったんだなって…

だけど好きが詰まった「今ここ」を飛び出していく4人の道中。
「人生は長い、世界は広い」というのを体現しているようでした。
きっと孤独死や飢え死にしそうになっても、だらだらモラトリアムみたいな生活を続けてゆく4人が想像できる終わり方で嬉しかったです。なんなんだろう最終回でこの多幸感…
のびのび楽しそうに歌う4人を見せてくれてありがとう、本当に心の底からいとおしいです。
道に迷って、ドラクエみたいな冒険にでていく4人の背中をずっと見つめていたい。

(この私が書きなぐった文章の構成が、「眩しい」お話で円状に戻っているのはわざと・・・じゃないですたまたまです笑)

 

 

ここまで読んでくださった方はいらっしゃるんでしょうか。本当にありがとうございます。
ただ私は後悔していることがあります。それは、本腰入れて考察しはじめたのが後半からだったことです。
後半の私の一週間は、
放送を観る→その日か次の日にもう一回観て味わう→3回目で気になる点や台詞を全て書き出す→4回目で好きなシーン(ほとんど)を全部スクショしながら観る→5回目で考察を一気に文章化する
っていうのをやってました。暇人か。なにやってんだ。
それを前半からやっていれば少しは深い視点を持てたかと思いまして。

というわけで、これから公式オンデマンドに課金して全部観直して全部考察しなおすのをやろうと思っているので、
そのうちここにも書いていこうと思っています。
ただの自己満ですが、もし読んでくだされば泣いて喜ぶので頑張ります。

いったんここで幕引き。